通院(痛院)
緊急事態宣言がまだ終わらぬ間から、僕は買い物以外にもう1つだけ、不要不急の外出活動を行っている。
それは、近所の歯医者への通院である。
4月から週に1回程度予約を入れ、現在も定期的に通い続けている。
僕は普段から、これほど破茶滅茶な生活習慣を送っている(日々の言動参照)にもかかわらず、これまで歯の定期検診に通うということを全くしてこなかった。
そんな中、先日、いつものように家でぐうたらな生活を送っていたところ、遂に、突然奥歯が欠けてしまった。
そこで、欠けた歯をよくよく見てみると、なんと薄っすらと茶色い。虫歯である。
完全に日頃の不健康な生活のツケが回ってきたのだ。
このようないきさつで、僕は泣く泣く歯医者に通院することとなった。
しかし、その歯医者ではなんと歯の治療以外の難関が待ち受けていたのである。
初回の通院で、僕には虫歯が何本かあることご発覚したが、その大半は奥歯であった。
奥歯の治療では、たいていの場合、かなり口を大きく開けなければならない。
これには口がとりわけ小さい訳でも無い僕も結構つらく、指を突っ込まれて口をこじ開けさせられる。
そのため、治療が終わる頃には、唇の両端が切れて真っ赤になり、パンパンに腫れてしまうのである。
僕は唇が切れやすいとか、肌がとりわけ弱いとかいうわけではないのにこの有様なのだから、恐らく他の患者も割とこんな感じなのだろう。
施術中、時たま歯医者さんや歯科衛生士さんが、「削っているところは痛くないですか?」と尋ねてくるが、痛い場所はそこではない。歯からはおよそ程遠いところである。
このように、日頃の健康管理ができていないと、どうやら予期せぬオマケ付きで痛い目を見るようだ。
歯医者での負傷話は、これだけではない。
その日の歯科衛生士さんは、相当にガサツな人であった。
施術中、なんと小指が僕の左目にずっと入っているのである。
当然のことながら、半端なく痛い。
(これは、ワザとか?ワザとなのか??普通、流石に気付くだろ!)と思いながら、只管に耐え続ける、修行のような時間であった。
そして、事態はさらに深刻さを増すことになる。
ホースから出る水が的を外してしまい、もの凄くダイレクトに、僕の鼻の中に思い切り入ってしまったのである。
そして鼻だけには留まらず、その勢いのまま更に左目に水がかかってしまった。
僕はコンタクトを着けているので、目が本当にヒリヒリする。
しかし、口を開けているので当然それを伝えることも出来ず、施術が終わるのを只々耐えるばかりである。
院内を流れるドリカムが、心にも目にもよく染みる。
歯の健康と引き換えに、危うく視力を失うところであった。
このように、歯医者に通っていると、歯以外にも痛い思いをすることがよくある。
まあ、だからといって、僕が施術の荒さに腹を立てたりすることはない。
ここで起こったことは、全部"仕方ない"ことなのである。
なぜなら、ここは「歯科」だからだ。な〜んちて!
mtkn